『名もなき花には 貴方だけの花言葉を〜♪』
機械仕掛けのflower scale
直るのか、だとぉ〜〜?
なにを寝ぼけたことを抜かしている。貴様が直すのだ!
だいたい我が無沈の……かつて無沈と銀河にその名を轟かせたあのアストレーデ艦は
貴様のその交信機だとかいう、怪しげな電波を飛ばす機械のせいで墜落したのだぞ。
再び飛び立てるようになるまで、お前の宿は私が預かるから
せいぜい早く直せるよう努力することだな。
決して辺境の惑星に独り取り残されて心細いだとか
せっかく退屈な王宮生活から逃げ出せたのにとんだ災難だとか
そういう話ではないからな。勘違いするなよ。いいから早くしろ!
「この一撃に全てを… あ、いや、なにも賭けない…っ!」
背後より這い忍び寄る不浄の神様
ゼンマイ仕掛けの花売りマキナにご執心
けれどネジの巻き方わからない
造った人間皆滅ぼした
振り向く日を夢に見て
今日も今日とて背後より這い忍び寄る
けれどネジの巻き方わからない
ウロロン オロロン
オロロン オンオン
燃える荒野の大傷心
やがて動かぬ石像二つ
めでたし めでたし
■ 憑き添い人と巡る楽しい寂しいロンリーツアー
「どうだい、ここの空気は綺麗だろう」
『そうね。涼しいし、体が軽いわ』
「成仏したくなった?」
『まさか』
次は何処へ連れて行ってくれるの?
そう続けて、ファインダー越しに彼女がクスリと笑う。
相変わらず、死んでる割に随分と気が早い。
長閑な風景。
だがどこか、萎びた枯れ木みたく、草臥れているように思えてならなかった。
いずれこの景色が陰る頃
彼女もまた、科学に飲まれる日を迎えているのだろうか。
■ フロリド心象にお嬢様とふたり - Jointlessmaiden Muscipula -
『上機嫌ですね、お嬢様』
「そりゃそうよ。昨晩、横になりながらお前の顔を見ていたら
まるでアンコウの面構えだということに気付いてしまったの。
今は、思い出してたらおかしくなってしまったわ」
『私は二本足なので、縦に見るのが正解です』
「分かってるわよ、マスキプラ。
お前は不細工な魚じゃない、私のお上品な侍女」
『お嬢様の冗談はよく分からないです』
「私には、お前が手に花咲かせているのがよく分からないよ」
『私は大真面目ですが』
「そうだった。お前はひょうきんな機械人形ね」
『昨晩、お嬢様がお休みになる前に
"ここじゃ紅茶を嗜むこともできないし、せめて華が欲しいわ"
とおっしゃっていたので、これが私にできる精一杯です』
「そうだった…お前はやっぱり機警で可憐なトゥイーニー!」
『なんでもいいです』
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