手伝おうか?

そう言いかけたが、言葉にはならなかった。
彼女と目が合ったからだ。
聞くと、いま流行のお洒落らしい。
そういうのもあるのかと関心してしまった。
欧米のセンスに憧れを抱くようなものだろうか。
彼女にとってはお気に入りの服を着る延長なんだろう。
彼らには彼らの歴史があって
文化があって、最新のコミュニティが築かれているのだ。
でも私にはそれがシュールに思えてならなかった。

花柄のテープを腕のベルトに押し留め、地面に向かってぶら下げる。
それから体を左右に動かして、ヒラヒラとなびかせてみせた。
(このときどうしてか、昔テレビの特撮番組で観た
両腕がムチになっている怪獣のことを思い出した)

どう?と言って、彼女がこちらの意見を訪ねてきたので
私は、かわいらしいね、とだけ答えた。

地球侵略を企む異次元略奪者ナントーカ星人は
手始めに地球人の文化を調査することにした。
その尖兵として送り込まれたのが、この潜伏怪獣バレテールである。
バレテールはナントーカ星から送られてくる宇宙信号を受信して
情報を元にあらゆる生物に化けることができるのだ!
しかし、はるか遠く彼方にあるナントーカ星からの信号をキャッチするためには
受信アンテナの役割を果たす二本の角と尻尾を隠すことができなかった。
(三本のアンテナが立っていなければバリサンにはなりえないからだ!)
名前にも表れているように尻尾による強力な攻撃が得意。
ほかにも目からフラッシュや怪光線をはなつ。
弱点の角を折られると、母星からの指令が聞こえなくなって極端に弱気になるぞ。

愚かな地球人共め。お前達の弱点はもはやお見通しだ。
大人しく我々に従い地球を明け渡すがいい。
抵抗しても無駄だぞ。バレテールに敵うものなどいるものか。
フフフハッハッハッハ……

地球人を研究した結果、彼らが同類の可愛い娘に滅法弱いという弱点を発見し
自らその姿に変身することで侵略計画の成功を確信しご機嫌な様子のナントーカ星人

博士、泣かないで。私、幸せだから。

completed failure

Page 8 is end

Copyright © keida All Rights Reserved.