THE 雑種嬢
『ふん、せっかくだから教えてやる。聞いて驚くがいい。
 私は誇り高き魔族の名門エーリヒ家と獣貴族の名門ウォルフガング家とコルンゴルト家と
 かの人貴族の名門のえーっとあの、なんとかーナなんとかと、あと、あれだ。なんだっけ…
 とにかくなんかすっごいのの血を交えた結果誕生したとにかくすごい血統の持ち主なのだ。
 そんな私が、単一血族止まりの貴様ごときに、こうして話交える機会を許すということは
 とにかくすごく奇跡的で有難がるべきことなのだぞ。フフン、よく分かったか』

「さっぱりわかんねえ」



潜伏怪獣バレテール
大怪獣の秘密を君だけに大公開だ!(誇大広告)



我が家のイエグモさま
うちのイエグモがこんなに可愛いわけがない



人造アイドル兵器シュティーピン・フィンガー11歳(モデル年齢)
出典:アイドリング・ストップ//Steepin the IDoll
略歴:表の顔は42系第三惑星のトップ宇宙アイドル。
しかしその実態は、デアール教が産み出した脅威の戦略兵器である。
とても礼儀正しく、任務に忠実。生真面目でやや神経質な性格。
アイドルとしての活動は、デアール・ビジネスの布教、興業を大いに担っている。
その人体モデルはデアール教の現教帝、エスベッキー・ピーシ(Sbecky Psi)。
アイドル業と遠征任務の二足の草鞋をこなすなか、次第に自我を育み始め、
自身の存在や立場、その意義、取り巻く環境・世の中について考えるようになる。
オー脚を指摘されるとキれる。



a long time waitress
その廃城では 今もなお 一体のガイノイドが活動状態にあり
遠い日から続く 亡き主君の言い付けを堅く守って
観光に訪れた人間のもとへ オーダーを取りに来るという。



切り裂きジャッコちゃん概要
キミは、ボクと手を繋いでくれるニンゲン?
抱きしめても苦しまないニンゲン?
試させてくれるニンゲン?
それって本当にニンゲン?

ただ、冷えた手を温めて欲しいだけ

止まり木

ここには、あの御方が眠っておられます。
私は、こうして、起こしてしまいませんように、じっとしています。
縁屋さんの話によると、もうこれまで通りには、お会いできないそうですけど
こうしていると、たびたび、樹木のうろから、便りが届きますので
私は、じっとして、耳をすませて待っているのです。
あの人の声。あの人の匂い。あの人の息遣い。
ここにいると、以前と、あまり変わりありません。
ですから、棟梁さんが、もう帰らねばならぬ、とおっしゃいましても
私は、「いましばらく」の一点張りで、棟梁さん、ついに折れた様子。
縁屋さんたら、もう来れないからと、強引に私を引っ張りますので
む、と思ったときには、自分で自分の体をばらしてしまった。
これには、縁屋さんもすっかり諦めて、こいつはもうボロだ、と言ってお帰りに。
ここだけの話、縁屋さんは、ずんばらりとお喋りになるから、あまり得意でなかった。
とにかく、正真正銘、これでふたりきりになれたと思い、最初は浮かれ気分。
でも、お腹が空きましたので、急に落ち着き払って、ああ、帰らねば、と思いましたが
体が動かれません。だって、股先をばらしてしまったのだもの。
本当にお腹が空くのも、当然なのです。どうにも、心細くなってしまいました。
しばらくして、風が強くなると、うろから、ひゅうひゅう、と音が伝います。
そうすると、私は、途端に元気、お腹が空いたことなんか忘れて
あの人の寝息を、もっとよく聞かれるよう、じっとすることにしました。
棟梁さん、遠くのお仕事があるし、縁屋さんも、きっと、もう来ない。
返す風が吹くと、うろから、今度は、びょうびょう、と。
おそらくですけど、私に、お歌をリクエストしてらっしゃるんだ。
あの人、私のお守歌を、よく町内自慢になさっておられた。すこし、懐かしい。
では、では……。
こほん、と咳払いしたつもりが、ジジジ。
あーあー、と喉の調子を整えようにも、ジジジ。
どうしてか、歌う気分でなくなってしまった。ジジジ、ジジジ。

「わたくしの心臓(バッテリー)、あなた様のと、交換できたらよかったのに」

最後に、歌のかわりに、呟いていました。
ジジジ、しとしと、ジジジ、はらり、はらり。

うろから、ひゅうひゅう、と音が伝いましたので、私も今日は、おやすみ。
ふたりきりになりたいですから、そこの貴方も、もう、お帰りください。

------------------------------------------------------------<キリトリ>

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